元氣
~縁を未来へ紡ぐため挑み続ける~

公益社団法人行田青年会議所
2021年度 理事長 仁平悟史

【はじめに】

 まちを歩くと見えてくる過去の遺跡や先人の勇姿。耳をすませば聞こえてくる鳥や虫の鳴き声と川のせせらぎ。過去に想いを馳せることで聞こえてくるのは懐かしいミシンの音。この素晴らしいまちの魅力を未来に残すために様々な人たちがつながり、たくさんの縁が紡がれてきました。多くの人の縁によってつくられたこの誇りあるまちを未来に残していくため、私たち責任世代は、常に元氣な姿で走り続けなければなりません。
 しかし、年々増加する自然災害や未知のウイルスにより、人々は不安を憶え、やり場のない感情は、他者や社会に責任を転嫁する人々の姿を露骨に現わしてしまいました。けれども、私たちはどんな困難なことに対しても挑み続け、乗り越える力を持たなければなりません。それには何気ない日々の生活や、今の環境を支えてくれるすべての人に「すべてはみんなのおかげさま」という感謝の心を持つことが必要です。そして過去から受け継がれてきた縁を継承し、愛する家族のため、信頼できる仲間たちのため、未来を生きる人たちのため、自分ではない誰かのために行動していくことが、どんな困難なことにも挑戦し、乗り越えることができる元氣を纏った人へと成長させてくれます。

【元氣あふれるまち】

 私たちのまちには多くの歴史や文化があり、それらに付随するストーリーは日本遺産にも選ばれるほどです。さらに近年では川辺の魅力を活かしたプロジェクトも行われ、自然を未来に残す取り組みも行われています。当り前のように存在する地域資源や天災の少ない土壌はこのまちの誇りであり、先人からの有り難い贈り物です。しかし、当り前にあるからこそ希薄になりつつあるまちへの関心や危機感を私たちは持ち続け、未来を生きる人たちのため、混迷する時代を生き抜くために挑み続けていかなければなりません。
 このまちに暮らす老若男女誰しもが地域の魅力を共有し、互いが互いを必要としながらいきいきと暮らすことができ、今を元氣に生き抜くことができる環境は、次世代へと魅力を紡いでいける元氣あふれるまちです。
 そのために私たちはこのまちの現状を受け止め、強みをしっかりと分析し、理想を思い描き、未来への夢を巡らせ、前例にとらわれない発想で、仮説・実行・検証を繰り返していかなくてはなりません。今まで以上に無病息災を願うこの時代において、安心に暮らすことのできる環境と、このまちの強みを掛け合わせることのできる運動の展開が、このまちの進むべき未来の姿であります。そして現在の問題や課題に屈せぬ未来を見据えた元氣な行動力が、企業や団体、人々を巻き込み、民間主体のアイデアが行政や地域を変えていきます。能動的に地域の問題に挑み続ける人々が行田の新たな価値観を創り、元氣あふれる未来へと続く新たなストーリーを創っていくと確信します。

【失敗を恐れぬ子どもたち】

 好奇心旺盛な子どもたちは、分からないことに興味を持ち、それを探求する力を持っています。子どもたちにとって初めての体験や、できなかったことができるようになる姿は未来を創る可能性にあふれており、その目の輝きは、私たちに大きな希望と元氣を与えてくれます。しかし、様々な情報を簡単に取得できる現代社会は、表面的な答えや正解を簡単に与えてしまい、様々な過程で得ることのできる気づきや学びを損なわせることになり得ます。何が起きるか分からないこれからの時代、分からないことを自分で考え、仲間と学びあい、協力して答えを導き出すことのできる、失敗を恐れぬ子どもたちの育成が必要だと考えます。
 初めての挑戦に失敗は付きものであり、失敗から多くの気づきや学び、さらに仲間たちと共有していくことで、子どもたちにとっての楽しみとなり、自主的に行動できる子どもへと育っていきます。そのためには、「言われていないからやらない」という指示待ちの子どもではなく、「言われていないこともやってみる」という生まれ持った探求心を存分に発揮し、子どもたちの自主性を育むことができる運動を展開する必要があると考えます。本当の失敗は「何も行動しないこと」であり、自分で考えることを止めてしまうことです。そうならないためにも地域の大人たちが子どもたちの手本になることで、自主的に何事にも取り組む挑戦心を持った元氣な子どもに成長し、このまちを担う若者になっていきます。

【元氣な組織であるために】

 同じ理念のもと、志を一つに、未来のビジョンを共有し、一人ひとりが将来への希望を抱き、人のために行動できる組織。そしてメンバー同士が互いを認め、高め合い、大きな声で自分の意見を発言できる組織は、地域を元氣にする私の理想とする組織です。明るい豊かなまちの実現という大きな未来ビジョンを持ち、地域を駆け巡る青年会議所のメンバーの姿は、先行きの見えない今の時代にとって必要不可欠な存在です。
 元氣な組織であるために、私たちは今よりもさらに青年会議所の存在意義を知り、自分たちを磨き合える同志を増やしていかなければなりません。それは新たな価値観を取り入れ、時代に即した問題に挑み続けることができるからです。そして自分たちに課せられている使命に対し「なぜ何のために」という自問自答を繰り返すことが、奉仕・修練・友情という信条を身につけ、人生において二度と来ない今を存分に味わうことのできる自立したJAYCEEになっていきます。人々の心を動かす力を持ち元氣を湧き上がらすことのできる私たちの運動が、このまちに変化を起こし、地域の人から必要とされる元氣な組織になっていくのです。

【創立60周年に向けて】

 明るい豊かな社会の実現という大きな目的のため、行田青年会議所は58年の歩みを進めてきました。先輩諸氏の元氣あふれる運動が、地域に多くの財産を残してくれたおかげで私たちの今があります。「すべてはみんなのおかげさま」この想いを胸に秘め、過去からの縁を紡いでいくために、私たちは新しい時代に挑んでいくべきであると考えます。
 2012年度、まちづくり未来ビジョン『誇りある「彩のふるさと」~誇郷(こきょう)~』に基づく4e運動の展開。そして2017年度に策定した誇郷へのロードマップに4e運動の道標となる数値目標を掲げ、運動を展開してきました。この指針の最終年度を迎えるにあたり、私たちはこれまでの運動を検証し、公益活動と共益活動の比率なども視野に入れ、私たちらしい活動を続けていくことを意識した、新たなまちづくりのビジョンを策定していく必要があります。また、私たち青年会議所メンバーが、今まで歩んできた道のりを学んでいくこと自体に大きな意味があります。創立50周年時から今に至るまでの在籍するメンバーがわずかしか残っていない現状において、その当時の想いを知ることと、今の価値観を照らし合わせていくことは、創立60周年に向けた確かな歩みを進めていきます。常に地域から必要とされる組織であるために、私たちは時代に挑み続け、過去からの想いを未来へと紡いでいきます。

【未来へと縁を紡ぐために】

 あの人のおかげで生きるエネルギーが湧いた。あの人がいたから自分は変わることができた。どうしてだろうか、あの人を見ていると自分ではない誰かのために、未来を生きる人のために頑張りたくなる。青年会議所は自己研鑽を繰り返し、人の意識さえも変えることができる場所です。
 挑戦を繰り返す私たちに失敗という概念はない。自分を信じ、仲間を信じ、元氣よく今を生きていこう。家族、仲間と笑いあえる元氣あふれるまちにしていこう。私たちの元氣が多くの人の心を動かし、明るい豊かな未来を実現する原動力になると確信します。


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